13730:シュアリー 2012/08/10 02:27:16
公都、王城ディスパテル。 ヘルハンプール王宮。 「唯一いまだ建国王の治める古の公国」、千の武将を抱えた地として名を馳せたのも今は昔。幾多の戦乱と気紛れな滅びを経て、王の座す場所はいま、静かにその威容を湛えていた。 真夏の湿った熱気が、石造りの回廊にじわりと染み込んでいる。篝火の灯揺と月影がすべてをほの青く浮かび上がらせていた。
その静寂に慌しい足音が飛び込む。 軽装の執政補佐官を先頭に、重武装の兵士が3名。兵士の一人は両手で箱を抱えていた。 息急き切らし、甲冑の擦れる音を弾かせ、 「閣下はどこか!?」 逸る足音は王を求める。 月を望むにはうってつけの夜が、散り散りに踏み荒らされてゆく。
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