358785:レイラール 2003/09/14 13:08:40
「各国より集まりし選手諸君・・・ようこそBF(バトル・フィールド)世界大会へ・・・」
アース神殿に飾られる数多の彫刻群が口を開いた・・・!?
重厚な石造りのアース神殿は、まるで城のよう・・・
普段なら入りもしない数々の部屋、そして数多の彫刻群
今宵は新月。
星明りと数々の松明の明かりだけでは、きっと所々に深い闇がある筈だ・・・
さぁ、各国より選ばれし選手達よ・・・
神の御前での試合、無様な姿は晒せないぞ。
358787: 開幕宣言 レイラール 2003/09/14 13:10:00
「試合期間は9月24日まで。死んでアースの御許に行ってしまわないように・・・ふふふ・・・
それでは行きましょう、華麗なる惨劇を・・・BFアース神殿戦
――――― 開 幕 ――――!!」
358788: BFとは? レイラール 2003/09/14 13:10:29
〜「いかに格好良く負けるか」を目標に、「魅せる」事をテーマにした秩序ある戦闘RP(ロールプレイング)〜
各国から選手が出てきますので、執行部が組み合わせを決め、指定された相手と1対1の戦闘RPを行うイベントです。
・10日間の戦闘であること。
・登録票を提出し、登録票に無い技・魔法の使用は禁止であること。
・勝敗がなく、カッコイイ負け方を追求する。
358789: 諸注意 レイラール 2003/09/14 13:11:24
ここの会場スレッドには、選手・執行部以外のレスは無さならないよう、お願い致します。
また、応援スレッドが出ています(出ます)ので、応援はそちらにレスして下さい。
試合が後半になりますと、一番カッコイイ試合を決定するスレッドが出ます。どうぞ、御投票下さいませ。
尚、選手にはここで初めて対戦相手を知りました。
即興RPを選手に課しております。
選手はそれぞれあまり面識の無いであろう人と対戦しています。
メッセや伝言などでの打ち合わせを行ってはいけない事になっておりますので、御了承下さい。
また観客の皆様は、そんな条件の下で選手が戦っている事をご承知の上で御覧下されれば幸いです。
358801: 開幕:ヤヌス ヤヌス 2003/09/14 15:07:06
この世で絶対の力を持つ「アース神」
その姿、力に生き物は信仰し、憧れたのか。
それとも畏怖を覚えたのか。
先人達によって築かれた神を讃える城、アース神殿。
幾世紀も経ってるはずのこの建物が未だに朽ち果てる事無く、荘厳さを保っているのは、築いた者達が抱いた思いが絶対的に強かったからに他ならない。
宵闇の中、一人の男が立っている。
何をするわけでも無く、只その手に持った酒の空き瓶を手の中で転がしながら。
男は待っていた。
まるで久しぶりに会う恋人を探す様な表情で。
心躍るその気持ちを隠し切れずに自然と笑みが浮かぶその顔で。
男の名はヤヌス。
ヘルハンプール1の酔っ払い。
358824: 始まりは静寂と共に ゼフィリシア 2003/09/14 18:43:33
そこは『異界の魂』である自分を、この地に縛り付けている『聖神』を祭る神殿。
この場所が自分の戦場に選ばれたのは、ある意味運命なのかも知れない。
そんなことを考えながら、少年は目の前に立つ彫像を見上げる。
神殿に何処からか差し込む光に照らされた、天使の―――いや、神の彫像。
この世界の管理者、聖神アース。
その姿をしっかりと瞼に刻み付けると、少年は頭の中で告げられた『待ち人』の方を向く。
重苦しさすら感じる静寂の中、小さな足音が響き渡る。
少年―――ゼフィリシアはその深紅の瞳に、宵闇の中に立つ一人の男の姿を映した。
359026: ファースト・コンタクト:ヤヌス ヤヌス 2003/09/15 21:58:29
傭兵王国クルダを発祥とし、今もなお武の国としてその名を轟かす国、ジグロード。
数々の戦いを乗り越えたその国民性は、正に戦士。
そしてその国の代表。
深紅の瞳が真直ぐに俺を捉える。
背けず彼を見るのが武人としての礼儀。
其処に言葉など無用。
愛剣を抜き・・・構える。
二人の挨拶は其れで充分、後はこの身砕けるまで戦うのみ。
何が合図であったのだろうか?
0
確かに二人の間に有った筈の距離。
今は既に無い。
触れる武器の音だけが
遅れて鳴らした鐘の音。
359153: 戦意は視線と共に ゼフィリシア 2003/09/16 15:22:44
突然―――そう、それは誰が見ても突然だった。
しかし、まるで示し合わせたかのように同時に斬り込んだ二人の剣は、静まり返った神殿に戦いの宣誓を響かせる。
それが、合図。
そう、始まりの合図。
ここからが、戦いの始まり。
斬り結んだ刃越しに、真っ直ぐな視線がぶつかり合う。
まるで突き進もうとするかのように、お互いに前へと力を込めていた。
僅かに膠着状態が続いたが、それはこちらが後ろに飛んで間合いを取ったことで崩される。
そんな時でも、視線だけは真直ぐに向けたままで。
359154: 戦場は宵闇の中に ゼフィリシア 2003/09/16 15:27:55
それぞれの手に持った剣を握り直し、構える。
ずっと使っている双剣・月煌剣【雫】の、この手に馴染んだ感覚が気分を落ち着かせてくれた。
≪U−ブレイン、戦闘起動。空間情報把握、開始≫
U−ブレイン。
それは、ゼフィリシアの体内に存在するもう一つの脳ともいえる存在。
情報を瞬時に伝えることで、戦闘をサポートするのである。
ゼフィリシアは再び床を蹴ると、双剣を月のように煌かせてヤヌスに斬りかかる。
再度刃のぶつかり合う音が響き、闇の中に火花が散った。
359208: 剣士相対剣士 ヤヌス 2003/09/16 21:04:05
その瞳、正に戦士也。
その剣、正に双竜也。
刹那に開いた二人の距離でさえ瞬時に、そして完璧に把握し、その双剣を煌めかせ剣撃に移る。
彼の双剣に映った光は星の煌めきか、魂の輝きか。
我が目に写した光景を見て、戦いの中で不謹慎と言われるかもしれないが・・・
美しいと思った。
美の中で起こる剣撃に戦いの本能で貪るように弾き、弾かれ、返し、返される。
そして戦いは第二幕へ。
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359212: 技 ヤヌス 2003/09/16 21:21:23
再びお互いの体が何回かの入れ換えの後、離れた。
瞬時に爆発的な力を互いに溜めた瞬間、白いはずのヤヌスの剣が緑色に発光し、同時にまるで包み込むように剣の周りに風が収束してゆく。
その風は南国に吹き荒れるストームの如く剣風に乗り、戦うべき相手へ。
「ウィンドinミクロネシア」
俺が呟いた、この戦い初めての言葉。
359331: 声は風と共に ゼフィリシア 2003/09/17 06:37:50
離れた場所からの風による攻撃。
ヤヌスの剣に収束していく風を感じて、ゼフィリシアは瞬時にそれを予測した。
U‐ブレインによってすぐさま情報は伝えられたが、その暴風とも言えるような風は視認することが出来たからだ。
「ウィンドinミクロネシア」
それが、初めて聞いた彼の声。
その攻撃は突風―――いや、そんな表現では生ぬるいだろう。
その風はむしろ、衝撃波に近いかもしれない。
「四聖霊じゅ……」
すぐさま防御障壁を展開しようと意識を集中した。
359333: 魔力は魂の内に ゼフィリシア 2003/09/17 06:38:36
だが―――
(ダメだ、使えないっ……!)
この防御障壁は登録票に記されていない。
登録してない技を使用できない以上、障壁を展開することは出来ない。
一瞬の迷いが、戦闘では命取りになる。
それ故に、次の行動は迅速に行なわなければいけない。
ゼフィリシアは自分の魂の内に眠る魔力を練り上げる。
【異界の魂】
この世界において、そう呼ばれるらしいこの力。
生来魔力を持たなかったゼフィリシアが得た、この世界での魔力の源。
359335: 相殺は衝撃と共に ゼフィリシア 2003/09/17 06:40:06
直前まで迫った剣風に向かって、右手を振り上げる。
右手首に埋め込まれた紅い石が魔力の煌きを放ち、右手に握り締めた白い剣の周囲に風が生み出されていく。
「天魔疾風!」
この世界における最上位の風魔法と共に、剣を剣風に叩きつける。
膨大な風量を持つ二つの風の衝突により、爆発にも似た衝撃がゼフィリシアのすぐ傍で起きた。
爆発の際の衝撃で多少切り傷が出来り、弾けとんだ神殿の床の欠片がいくつか体に当たったが、幸いにもたいしたことはなかった。
359337: 攻撃は炎と共に ゼフィリシア 2003/09/17 06:41:09
爆風によって出来た煙により、お互いの姿が見えなくなったが、U−ブレインによる空間把握によって、ゼフィリシアは相手の居場所を確実に捉えることが出来る。
両手の剣をしっかりと握り締めると、再び魔力を練り上げていく。
右手首の石が魔力の煌きを纏い始めた時、ゼフィリシアは思い切って床を蹴った。
爆煙を抜ければ、すぐ目前に相手の姿がある。
わかっていたからこそ、躊躇いも無く剣を振り下ろす。
同時に魔法を放ちながら。
「天魔爆炎!」
炎と斬撃を同時に相手に向かって叩き込むために。
359454: 衝撃のち爆風ときどき石片 ヤヌス 2003/09/17 23:35:37
互いの力を込めた風の衝突。
反発する二つの力は決して広いとは言えない神殿の中を駆け巡り、やがて我が身へ跳ね返る。
同時に巻き起こる粉塵。
視界が奪われた時の中で感じたモノは、十二分な威力を持った双刃の一撃と膨大な熱量。
即座に反応しようとするが所詮限界も有るわけで。
体を四反転させ直撃を避けるものの、炎の熱は確実に服を、身をかすめつつも焼いていく。
痺れるような痛みと喜び。武人の狂気。
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359456: 一撃 ヤヌス 2003/09/17 23:49:48
体の捻と受けた刃の衝撃。
時は刹那。
粉塵の一つ一つが見えるほどに。
その深紅の瞳が映す光を共有出来る程に。
凄惨が支配するゆったりとした時の流れの中で。
不思議と笑みが漏れた。
笑みを浮かべたまま・・・
体重を乗せた薙払うような一撃を、想いの丈そのままに彼の脇腹へ。
359516: 反撃は笑みと共に ゼフィリシア 2003/09/18 04:51:49
双剣の攻撃がかわされ、炎は暗い神殿内を照らす灯りにしかならなかった。
思った以上に、彼は速い。
それに、やはり子供と大人の体格差ではリーチが異なる。
そんなことを言い訳にするつもりも無いが、現実的理由の一つではある。
攻撃をかわし終えた彼は、不思議な笑みを浮かべたまま踏み込んでいた。
まずい!
そう思った瞬間には、わき腹に向かって体重を乗せた薙ぎ払いが放たれていた。
359517: 鮮血は黒衣の中に ゼフィリシア 2003/09/18 04:52:12
放たれた薙ぎ払いに向かって、狙われた方の逆の手に持った剣で防ごうとする。
だが、咄嗟だった上に体制がよくないため、防御しきれず彼の刃はゼフィリシアの脇腹を切り裂く。
さらに、体重の乗った一撃は軽量のゼフィリシアの体をそのまま弾き飛ばす。
少し飛ばされた後、何とか片方の剣を床に差して勢いと止め、その反動で起こった痛みに耐えながら体制を整える。
直撃こそ免れたものの、決して軽症ではない。
切り裂かれた部分から血が溢れ、ゼフィリシアの黒い服を内側から濡らしていく。
相手から判り難いから、平然としていれば平気だろう。
359518: 痛みは感覚の外に ゼフィリシア 2003/09/18 04:54:25
U−ブレインにアクセスし、次の指示を送る。
≪痛覚遮断、身体能力制御開始、運動速度、知覚速度を2倍に設定≫
リーチの無さは速さで補うしかない。
痛覚を遮断されたことで、脇腹の痛みは気にならない。
U―ブレインから全身に伝わるもう一つの神経ネットワークが、身体機能を引き上げる。
長時間の連続使用は出来ないが、一時的に通常の倍速で動くことが出来る。
ゼフィリシアの眼には、彼の動きが先ほどよりもゆっくりと見える。
倍化された知覚速度によって、運動速度が上がっていてもゼフィリシアは普段どおりに動くことが出来る。
ただ、周りの全てが遅く見えるという空間の中で。
359519: 速さは一瞬の内に ゼフィリシア 2003/09/18 04:56:11
一瞬の後、ゼフィリシアは再び彼に斬りかかる。
倍速になったゼフィリシアの剣の一撃目を受け止めたのは、さすがと言える。
いや、驚くほどのことでもないかも知れない。
事前のモーションがはっきり見えるのだから、予測はしていた。
だが、その触れ合った刃を支点として体を回転させ、そのまま放った回し蹴りにまでは反応し切れなかったようだ。
足は彼の背中を確実に捕らえ、その体を僅かに蹴り飛ばす。
体重差があるから、攻撃に重さが無いのは致命的かもしれない。
≪身体能力制御停止、運動速度、知覚速度を通常に再設定≫
彼が立ち上がるのを見て、ゼフィリシアは再び剣を構えた。
359712: 剣・心・体 ヤヌス 2003/09/19 18:09:41
向かってくるのは分かった。
剣を振るってくるのも分かった。
普段であれば打ち落とし、体制を崩したところで追撃。
後手のセオリーであり、また非常に有効な手段の一つであった。
(だが何故だ?)
確かに剣は受け止めた。
だが余りに体制はこちらが不利。
彼がこちらの予測を遥かに上回る速度で突撃、斬撃を繰り出したということに気付くまでに時間は掛からなかった。
むしろ理解するのに時間が掛かったと言ってもいい。
次に視界に入ったのは彼の豪奢な金髪の後ろ髪。
既に彼の体は己の後ろにあり。
「メキ」
俺の背中が嫌な音を立てた。
程なく勢いで壁に叩きつけられる。
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359715: 武人なれば ヤヌス 2003/09/19 18:20:45
壁にぶつかった反動で体制を立て直して再び対峙。
男は少年を見る。
その小柄な体に如何程の力が眠っているのか?
最上級の魔法を使いこなし、反応しきれぬ速さで動き、背中に衝撃が走るほどの蹴りを出せるものなのか?
軽いショック。そして大きな喜び。
武人が武人として敬意を払える相手に巡り逢える。
なんとも素晴らしき事かな。
幾千万と居る戦いに身を置く者で、何人が敬意を払える者と対峙できるだろうか?
武に生き、武に誉れ、そしていずれは命を落とす。
なんと多くの者が戦うことに喜びを感じる者と出会えぬまま地獄に落ちる事だろうか?
なんと己は幸せなのだろうか?
359717: 名乗り ヤヌス 2003/09/19 18:33:37
剣を正眼に構え、彼の瞳にその身を映す。
新月の夜と神尊び城と武人二人。
夕焼けの海に沈み行く一抹の氷を眺めるが如く
気だるくも新鮮で、痛みつつも幸せなこの空間を享受しながら。
口を開く。
「ヘルハンプール公国親衛隊統括ヤヌス。宵の刻に酔いどれる事を至上の喜びを見出す故、酔闇の堕天使が字。
今宵如何なる酒をも凌駕する戦いの酔いに浸りたく参上して候。
いざ!戦神に誘われるまま、この身果てるまで勝負致さん!」
体は自然に動いた。
体軽く、心鋭く。
名乗りを上げての一撃に小細工などはしない。
只真直ぐに、只全力で愛剣を振り下ろすのみ。
359724: 名乗りは喜びと共に ゼフィリシア 2003/09/19 19:30:04
彼の名乗りを聞いて、ゼフィリシアは心が躍るのがわかった。
痛覚を遮断しているとは言え、完全に傷のことを忘れてしまいそうになるぐらいに。
認められている。
そう、感じたから。
全力で真直ぐに突き進んでくる彼―――ヤヌスに対して、ゼフィリシアもまた口を開く。
相手が名乗った以上、こちらが名乗らないのは礼儀に反する。
それに、自分も相手を認めているから。
その強さ、その心を。
そう、戦いが始まったその時から――――
359725: 返しは誓いと共に ゼフィリシア 2003/09/19 19:33:14
「僕は、ジグロード守源聖【熾】、ゼフィリシア……」か
正面から斬りかかるヤヌスを真直ぐに見据え、ゼフィリシアもただ動いた。
心の赴くままに。
刃の進むままに。
身体制御したわけでもないのに、体が軽い。
真直ぐに前だけが、相手だけが見える。
「この守源聖の名と、光鉄の熾天使の字にかけて、全力で―――受けて立つ!」
これは誓い。
返答と同時に、戦いの誓い。
359726: 戦闘は剣舞の中に ゼフィリシア 2003/09/19 19:35:16
相手の全力の一撃を、こちらも全力の一撃で受け止める。
静寂の中に、澄んだ金属音が鳴り響く。
それから、二合、三合……と。
二人は幾度となく剣を打ち合わせる。
打ち合わされる剣が奏でる旋律は、お互いの心を鼓舞するかのよう。
その立ち回りは、神に捧げる舞。
お互いが、お互いに出会えたことへの感謝。
その喜びを表しているようだった。
そして、ひときわ大きな音と共に、その衝撃を利用してお互いに距離をとった。
再び静寂の中に構える二人の間に流れる空気は、以前とどこか違うように感じた。
359925: 酔いどれ ヤヌス 2003/09/20 21:45:32
二人に開いた距離はやや遠く。
長さにして40m位だろうか。
例え新月の夜でも、明かりが松明しかなくても
彼の姿は眼にはっきりと、澄み渡る青空の下で見るよりはっきりと。
少々の沈黙。
ふいに懐に手を入れて瓶を取り出す。
出てきたのはビール。
何をするわけでもない、飲むために取り出した。
神の御前でよく冷えたビールを喉にゆっくりと流し込む。
口の中にほのかな甘みとしっかりとした苦味が残る良いビール。
「ふぅ」
一口、満足の気持ちを述べる息一吐き。
もう一度愛剣をしっかりと握りなおす。
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359928: 斬撃 ヤヌス 2003/09/20 21:58:12
一気にその場で剣を振り回す。
技を出すために。
心の中でリズム。
2ビート、4ビート・・・16ビート・・・
そして白剣は残像でヤヌスを取り囲む白い玉となる。
「ダンス・ダイブ」
高速の剣風。
無秩序な斬撃。
再び足は彼のほうへ。
剣撃の舞踏曲を踊るために。
戦う二人の姿は英雄を讃える叙事詩の一幕。
360056: 戸惑いは情報と共に ゼフィリシア 2003/09/21 15:31:09
無秩序な剣風を巻き起こす白い玉となった彼。
ゼフィリシアはそれを見て、一瞬立ち尽くす。
あれだけの剣撃と簡単に打ち合えるほど、ゼフィリシアの腕は卓越していない。
身体能力制御、それにこちらは双剣だから、不可能ではないかもしれないが……
ラーニング能力があるとは言え、技術を簡単に習得できるわけじゃない。
(どうする……)
U−ブレインから送られてきた情報では、近距離に近づくだけでもその剣から生み出される衝撃を受けることになる。
すなわち、近づくことすら難しい。
360057: 輝きは魔力と共に ゼフィリシア 2003/09/21 15:34:28
だが、こちらに向かってくる彼に対し、逃げるという行動は取れない。
何より、取るわけには行かない。
何か手を思いついたのか、ゼフィリシアは右手を真直ぐに彼に向ける。
その手首に埋め込まれた紅い石が魔力の輝きを放ち始める。
そして、徐々にゼフィリシアの右腕に風が生まれる。
天魔疾風。
風を敵に向かって放つ魔法。
それを右手に持った黒い剣を中心に発生させているのだ。
360058: 詠唱は胸の内に ゼフィリシア 2003/09/21 15:35:53
本来、魔法を使うには呪文の詠唱と言うものが必要になる。
しかし、ゼフィリシアにはこの詠唱が必要なかった。
それはU−ブレインが魔法の構成を司る呪文や詠唱を瞬時に情報として処理することが出来るためだ。
つまり、ゼフィリシアは瞬時に魔法を起動することが出来るのである。
天魔疾風を右手の黒い剣に纏わせたまま、ゼフィリシアは床を蹴った。
黒の剣を盾にするかのように。
そして、相手の攻撃の―――剣風の間合い。
そこに至って、ゼフィリシアは右手の風を解き放つ。
360064: 風は剣と共に ゼフィリシア 2003/09/21 15:39:50
「天魔疾風!」
風魔法が放たれると同時に、剣の間合いに入ったため弾き飛ばされる黒の剣。
体を持っていかれないように、剣は逆らわずに手放す。
右手が相手の剣風に少し切り裂かれたが、すぐに体まで引き戻し追加分を無くす。
そして、風と剣を弾いた衝撃で一瞬だけ彼の剣が遅れる。
≪身体能力制御、運動速度、知覚速度を2倍に設定≫
≪左筋力のみ3倍に設定≫
≪ラーニング能力【刃】起動、対象『白の剣』≫
その時、U―ブレインの高速並列処理により、これらのことが行なわれていた。
360065: 威力は一撃の中に ゼフィリシア 2003/09/21 15:40:40
飛ばされた黒の剣。
同時に、ゼフィリシアの左手に握られた白い剣の刀身が変化した。
まるで、周囲から原子を取り込むかのように、一瞬で巨大化する。
それは2メートルを越す長さと、10センチ超の肉厚を持つ鉄板のような剣だった。
膨大な重量を持つその剣を、倍化された左手で力任せに薙ぎ払う。
速さと数に対し、直接的な威力と重さによる一撃で対抗したのである。
剣風の届く間合いのギリギリ外から、ゼフィリシアはその巨大な剣で風を唸らせながら剣撃を繰り出した。
360094: 理不尽な破壊力 ヤヌス 2003/09/21 19:54:16
肉体を超越した威力充分な一撃。
剣を弾かれ、風で勢いを消されてその上これである。
全く天は彼に何物を与えたもうたのか。
だが感慨に耽っている暇は無い。
巨大な剣が今や遅しと迫っているのだから。
素早く剣を戻し力を溜め・・・
魔力に呼応し、急速に光り始めた剣を裂帛の気合と共に鉄板とも言うべきソレにぶつける。
インパクトの瞬間、魔力を開放。
強く・・・強く・・・力強く踏み込んだ軸足の力を全く無駄にすることなく上半身の捻りとして伝える。
己が使える唯一の力技で、それなりに自信もあるのだが、それでも相手の力を打ち消すには到らず再び壁に叩きつけられる。
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360095: そして戦いは終幕へ ヤヌス 2003/09/21 20:09:19
飛ばされた男はすぐさま反転し、少年に斬りかかる。
少年も双剣を握り締め、其れに呼応する。
互いに大技を出した直後。
今度は一転して純粋な剣技勝負となる。
金髪の少年と銀髪の男。
歳かけ離れてるように見えるこの二人の戦いは
まるで幼き日に只剣を打ち込むことに夢中だった、在りし日を思い起こさせる。
まだ蒸し暑い夜の中、二人の汗が松明の明かりに反射し、様々な色合いを映す光景
そう・・・それはアフロディーテが夏の終わりに残したセピア色の涙。
只強い者と戦いたくて、打ち倒したくてがむしゃらになっていた記憶の片隅に残る熱い気持ち。
360178: 剣劇は劣勢と共に ゼフィリシア 2003/09/22 04:45:29
幾度となく打ち合う二人。
だが、徐々にゼフィリシアが押され始めていた。
身体能力制御による肉体的ダメージが蓄積されてきたのだ。
それに、脇腹に受けた傷の出血もまだ止まらない。
生機融合体であるゼフィリシアの自己再生能力は、人のそれを遥かに上回るものの、あれだけの動きをしていればさすがに回復は遅くなる。
出血は、そのまま体力を奪い取っていく。
痛みこそ感じなくしているものの、肉体の疲労やダメージまで消すことは出来ない。
そして、今まで双剣―――つまり、二刀で戦っていたのに対し、現在ゼフィリシアは左手に一振り持っているだけだ。
それもまた、押され始めた原因といえた。
360179: 剣技は一瞬の中に ゼフィリシア 2003/09/22 04:47:15
ヤヌスの振り降ろしを弾き、そのまま踏み込んで薙ぎ払うように剣を振るう。
彼がそれを跳んでかわしたのを見て、すぐに防御の姿勢をとる。
間髪いれずに剣撃が打ち下ろされる。
自分より、重さも速さも、そしてリーチもある彼に、ゼフィリシアは苦戦していた。
ギリギリと刃が悲鳴を上げながら、お互いの力比べとなる。
鍔迫り合い。
だが、身長ぶんだけ上から抑えられるヤヌスの方が優位に立ち、ゼフィリシアは押さえつけられる力を使って床をすべり、相手の後ろ側に回る。
しかし、すぐさま振り向きざまに放たれた薙ぎ払いを防いだ拍子に、ゼフィリシアは力を受け止めきれずに飛ばされ、床に倒れこんだ。
360181: 切り札は右手の中に ゼフィリシア 2003/09/22 04:49:54
ゼフィリシアが倒れた状態からすぐに立ち上がると、再びお互いに斬りかかる。
ゼフィリシアは剣を振るった後、相手の剣とぶつかる直前にラーニング能力【刃】を起動させ、刀身を巨大化させる。
避けた方がいいと判断したのか、ヤヌスが大きく後ろに跳ぶ。
ゼフィリシアは剣に戻すと、剣をそのまま高く放り投げる。
そして、自身は素手のままヤヌスに向かって駆け寄っていく。
右手首の紅い石が煌く。
そして、二人がぶつかり合う前にゼフィリシアが叫ぶ。
「来い! 無限の終焉……インフィニティ・エンド!!」
声と共に、ゼフィリシアの右手の中に一振りの長剣が出現する。
360182: 戦場は流れと共に ゼフィリシア 2003/09/22 04:50:58
再び、壮絶な衝突音。
同時に、風を切り裂く落下音。
ヤヌスが咄嗟の判断で飛び退ると、一瞬後に巨大化した先ほどゼフィリシアの投げた白の剣がその場に深々と突き立てられた。
ヤヌスは着地と同時に床を蹴り、ゼフィリシアに対して剣を突き出す。
それを、ゼフィリシアは体を横にスライドさせてかわしながら、床に刺さったままの白の剣を右逆手で引き抜く。
するとその刃が元の戻り、同時にそのまま薙ぎ払われた剣がヤヌスに向かう。
彼はそれを下がることで避けたが、ゼフィリシアはそのまま右手の剣を突き出した。
その攻撃は横にかわされ、同時にその剣もまた弾き飛ばされてしまう。
360183: 体力は出血と共に ゼフィリシア 2003/09/22 04:52:34
壁際に転がるそれぞれの月煌剣【雫】。
戦闘中の回収はほぼ不可能と判断し、ゼフィリシアは追撃の剣を大きく跳ぶことで避けながら間合いを取る。
目で簡単に飛ばされた武器の位置を確認すると、ゼフィリシアは長剣【インフィニティ・エンド】を晴眼に構える。
ゼフィリシアの体力も、そろそろ限界が近づいていた。
剣の柄を、ぎゅっと握り締めた。
気持ちが負けないように。
心が折れないように。
戦う意思が、戦意がくじけないように。
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360495: 終幕1 ヤヌス 2003/09/23 18:37:46
互いに待ってる時間は無かった。
時間も、残された動く力ももう僅かだと知っていたから。
これが最後、カーテンコールを彩る最後の一幕。
謳おう、この戦いを。
演じよう、喜びをもって。
「神突撃」
最後の切り札。
己が持つ最大の技。
体の各部の神経伝達速度等を上げて一時的に24倍の速さで動く。
外せば後は無い。
瞬時に縮まる二人の距離。
その剣に思いを乗せた二つの刃。
もう目の前、煌く光を秘めたその瞳を逸らす事無く見つめながら。
彼の繰り出した刃が己の体に向かっているのがはっきりと見えても。
我、剣を繰り出すのみ。
360497: 終幕2 ヤヌス 2003/09/23 18:55:32
派手な血飛沫が舞い上がった。
銀髪の男の剣は金髪の少年の傷口・・・この戦いの序幕でつけたその傷口をはっきりと捉えている。
だが、余りにも浅い。
血が出たのはあくまで以前の傷口が閉じきっていなかったから。
一方・・・・
金髪の少年の剣ははっきりと相手の腹部を貫いていた。
相手を倒すのに十二分なその力をもって。
経緯は時として結果に掻き消される。
あの瞬間、記憶に留める事さえ出来ない時の中如何なる攻防があったのか?
恐らく当人同士でさえはっきりと説明出来ないだろう。
それほどの瞬間だったのだ。
銀髪の男がゆっくりと倒れこむ。
己の銀髪を、少年の金髪を紅く染めながら。
360498: 終幕3 ヤヌス 2003/09/23 19:11:25
少年は映す。
自身の瞳と同じその色を。
男は刻む。
戦えた喜びの記憶を己の体に。
過去から未来へと続く幾千の戦い。
二人は確かにその中にいて
他の誰でもない
二人しか出しえぬ輝きを放った。
・・・・
涙が出た。
嬉しさと、祭りの終わりの余韻を感じて。
もはや指一本動かすことの出来ない体が
涙腺だけを少し、緩めた。
言いたい事は沢山あった。
敗北を宣言し、健闘を讃えあいたい。
だが今はそれも叶わぬ。
揺らめく松明の明かりが俺の敗北を高らかに謳ってくれるだろう。
今は其れで好い。
ただ・・・願わくば・・・
この心躍る戦いが
二人の長い人生の中で
褪せる事の無き詩に成る事を。
360652: 終幕は刹那の中に ゼフィリシア 2003/09/24 04:56:32
その時はっきりと少年が感じたのは、傷ついた脇腹をさらに抉る衝撃と―――左手に伝わった肉を貫く手応えだった。
そして、視界に広がる赤い鮮血。
その身を濡らす赤い液体だけが、自分の意識をここに繋ぎ止めていた。
そう、それはお互いが最後の一撃を覚悟して技を放った、次の瞬間の出来事だった。
あの時―――
そう、最後の一撃を決意した、あの時。
彼が、彼の切り札でもって挑んできた、最後の一瞬。
これは、その時のこと。
360653: 限界は秘奥と共に ゼフィリシア 2003/09/24 04:58:02
あの時、U−ブレインから彼の神速行動の予兆を伝えられていたゼフィリシアは、自分も最後の技を繰り出す決意を固めていた。
≪身体能力制御、運動速度、知覚速度を6倍に設定≫
―――6倍。
これが自分の出来る限界だった。
だが、これではダメだと知ったゼフィリシアは登録された最後の技を使用した。
四聖霊獣剣、秘奥【熾天】
四聖霊獣剣、それはイメージを精神力により具現化する魔術に近い剣術だ。
その中でも熾天は、ゼフィリシアが自ら編み出した攻防一体の光の技である。
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360654: 翼は軌跡と共に ゼフィリシア 2003/09/24 05:00:02
最初の一歩は同時だった。
次の瞬間に、ゼフィリシアは【熾天】を発動し、その身に熾色の光を纏い真直ぐに突き進んだ。
纏った熾色の光が軌跡を描き、それが翼のように広がった。
だが、それは一瞬のこと。
誰も―――そう、当人たちですら気づかないぐらい、一瞬のことだった。
勝負は紙一重だった。
彼の神速の一撃は正確に傷口を狙っており、もしもゼフィリシアの着ている服が体の線のわかるものだったら、おそらく倒れていたのはゼフィリシアだっただろう。
もし、熾天による防御力があと僅かに弱くても、倒れていたのはゼフィリシアだっただろう。
先に攻撃を当てたのは、間違いなく彼だったのだから。
360655: 決着は一瞬の内に ゼフィリシア 2003/09/24 05:03:27
この結果は、本当に紙一重の結果だったのだ。
とにかく、彼の神速の一突きはゼフィリシアの傷口を抉り、その後で突き出したゼフィリシアの剣は、彼の腹部を貫いていた。
そう、そうなっていた。
何故なら、ゼフィリシアは狙っていたのではなく、ただ真直ぐに剣を突き出しただけだったから。
そう、とても狙うことなど出来なかったから。
そのことを、結果と共に知ったのだ。
それが、あの一瞬の出来事だった。
360659: 終焉は朝日と共に ゼフィリシア 2003/09/24 05:14:55
傍らに倒れた彼を見て、ゼフィリシアは安堵と共に喜びを感じていた。
それは、勝利にではなく、ただこの戦いに。
彼と戦うことの出来たと言う、それだけのことに。
そのことに心から嬉しさを感じていた。
動く気配のない彼の隣に倒れるように座り込み、少年は天井を見上げる。
いつの間にか空からは闇が薄れ、東の空から茜色の光が差し込んでいた。
二人の戦いは今本当に終焉を迎えたのだ。
朝日が、まるで傷ついた二人を祝福するかのように、その戦場だった神殿を照らしていた。
361322: 終焉:執行部 ポルックス 2003/09/27 21:51:00
終わり…だな。
ほんの少し、東の空が明るみ始めていた。
長い長い一夜が終わりを告げる…
その一部始終を見ていたであろう彫刻たち
「神」をかたどったモノ
その「神」がほんの少し微笑んだ気がした
―――おつかれさま―――
※以上をもちましてBF世界大会アース神殿戦を終了させていただきます。選手のみなさま、本当にご苦労様でした。