魔力解放と共にヤヌス殿の少し離れた背後に巨大な闇が現れる。 …本来、目標を包み込むのだが、詠唱の途中で邪魔をされた為に発動位置がずれた様だ…その闇はダ−クボムとは比べ物にならぬ程、急激に収縮し爆発を起こした。 私は溜め息をつき、何とか通信機のスイッチを入れベイル殿に連絡する。 「…Eゲ−ト・ザンデ…戦闘続行不能だ…。ここで棄権する…。」 そして、その場に座り込みヤヌス殿に軽く微笑した。
「OKっすよ」 通信機からの声に答える。 「手合わせ……っていうかまぁ……感謝」 オウガデスに拱手して一礼。
「わかりました。では・・・」 宣言をしようとしたら不意に通信機に別の通信が入る。 「・・・はい、執行部ベイルです。」 通信機の向こうからは途切れ途切れな声で 「…Eゲ−ト・ザンデ…戦闘続行不能だ…。ここで棄権する…。」 状況を確認すると 「わかりました。今、手当てに向かいますから暫らく待機お願いします。」 すぐに執行部にも連絡を取る。 「・・・本部ですか?燐=アスク選手VSオウガデス選手、ヤヌス選手 VSザンデ選手の決着が着きました。あと、怪我人が一人。これから手当てに行きますので。」 言いながらすぐに走り出す。
「燐さん、旅立たれるのは寂しいですがお元気で、また会えることを楽しみにしていますよ」 そう言ってオウガデスは燐=アスクに握手を求めた。 「魔界獣でゲートまで送りますね♪」 緞帳が降りて終幕を迎えた。
もはやフィールドに居るのは我々だけ? …ま、それなら遠慮は要らないな。思いっきりぶっ放せる。 「出でよ、電気龍80000V!」 8万V帯電弾丸。当たらなくてもいい、掠りさえすれば…。 こいつ食らってもよろめきもしなければ、オレは歌うしかないぜ(何
「雷・・・か。厄介だな。」 剣で受ける訳にはいかない。かといって、アルケミの精密射撃を 簡単に避けられるとは思えない。そして、地面は凹凸が激しく とても素早い移動が出来る状態ではない。躓きでもしたら、 その時点で”アウト”だ。・・・導き出された答えは、ひとつ。 「・・・拘束制御術式一部限定解除・・・。」 ディアブロが小さく呟くと、その背中に漆黒の蝙蝠の羽根のような 翼と、灰色の天使の羽根のような翼が出現した。 その翼を羽ばたかせ、ディアブロは空へと舞い上がった。
突きは急所を外れるが確かに手応えはあった。 しかし彼は詠唱とともに杖を鎌に変化させ俺を振りほどく。 その直後俺の後方で凄まじい爆発が起こる。 だが微動だにしない。 彼の目からはもはや殺気を感じない為。むしろ微笑んだその顔は晴れ晴れとしていた。 無線機に静かに棄権の旨を告げるとその場に座り込む。 やがて緊張が解けた俺の体も急激に疲れが襲い思わず隣に座り込んでしまう。 「またいつか手合わせを」 そう言うと執行部のベイルさんが来るのを静かに待った。
「ヤヌス選手VSザンデ選手試合終了確認。燐=アスク選手VSオウガデス選手試合終了確認。引き続きディアブロ選手VSアルケミ選手確認してください・・・」 私はベイルの報告を受け、Dolly女史に向き直った。 「さて、解説者として今回のこの2試合、いかがでしたか?」
ヤヌス選手とザンデ選手の戦っていた場所にたどり着き、すぐにザンデ選手を発見し近づく。 ・・・思っていたより怪我がひどい・・・ 「・・・これは手持ちの医療品じゃどうにもできそうも無いですね・・・しょうがない」 懐から魔導書を一冊取り出し、開きながら空中に文字を紡ぐ。 「ちょっと辛いかもしれませんが我慢してください。ヤヌス選手も一緒に送りますので。」 そして文字を完成させると二人をゲートまで転移させる。 「優秀な医療班なら大丈夫でしょう。・・・執行部へ。僕は最後の試合の方に行きますので。」 ※残り1日です。
「燐さんがガーゴイル本来の力を見せないウチに 棄権しちゃったのはホントに残念〜っ! オウガデス師匠の人を喰った攻撃を柳のようにかわせるの、 恐らく彼だけだったでしょうしね♪」 一気にまくしたてると傍らの水をあおる。 「で、ヤヌスさんとザンデさんはまさに好対照、絵に描いたような一戦!! 重厚な魔術と軽妙な剣技のぶつかり合いが……はぅ……」 今度はとぉーくを見ている。 目を開けてはいるモノのさっきまでの場面を反芻しているらしい。 と。 いきなりレイラールの胸ぐらを掴んで思い切り揺すった。 「くぅーっ……早く次のカードが見たい〜っ♪」
「本日最終日です・・・」 非常な時間の制限が迫る。 対峙する二人に通信の声は届いたか・・・
おまえら、何、勝手に試合終わってるんだよ! なんでディアブロ飛んでやがるんだよ!羽とかずるくねえ?( p_q) 打ち落とすぞコラ! というか、自分も闇天使で普通にデフォルトで空中戦に臨めることに気がついたアルケミは、自らの翼を具現化し、舞い上がる。 「待てよ、おい…!」 懐から取り出した小さなダガーを取り出し、ディアブロに向かって突っ込んでいく・・・
こちらに向かって高速で飛来するアルケミを見て、 ディアブロはにやりと笑った。 「いいねぇ・・・その闘志、気迫、そして殺気。だが・・・」 ディアブロは、その手に持っていた大剣を構えた。 アルケミはもうそこまで迫っている。 「・・・そんなもので、拙者の剣が受けとめられるかな?」 そう呟くと、ディアブロは大剣を振るった。
空を切る音と共に振り下ろされるディアブロの大剣… 「ギターーーー!!」 アルケミは叫ぶと、左手を差し出した。 忠実なるわがギターは虚空間飛行を果たし、我が手に収まる。 ♪(G)雪よ岩よ(G7)我らが(D7)宿り これ以上歌うといろいろと権利問題が絡むのでアレだが、「雪山○歌」の一節で精神統一を果たし、ギターを振り捨てる。 さらば、我がシェンカーモデル…
精神統一を果たしたあとも、やっぱりディアブロの大剣は空を切る音と共に振り下ろされんとしているのだった。 「我が翼を…やる…!」 大剣が、闇天使の右翼を付け根からえぐった。 「だが、貴方も逝くんだぜ…!」 バランスを崩しながらも左手でディアブロの胸倉をかろうじてつかみ、握り締めたダガーを彼のわき腹につきたてた。 「高位なる人物よりの拝領の、我が暗殺剣だ…いい、味だろう…?」
「がッ・・・!?」 脇腹が熱い。灼けるような感覚が身体を走った。 「成る程、元より相打ち覚悟という訳か・・・」 呟いて、苦笑する。気付けなかった自分が愚かしい。 だが、今は後悔よりも先にやることがある。 ディアブロは、アルケミの胸倉を掴んだ。 「・・・コイツはお釣りだ・・・もらっとけ。」 そう言うと、その掴んだ手から火炎魔術を炸裂させた
その手から、猛火が噴出した。 だが…ダガーにかけられていた耐魔法のベールがゆっくりとほどけ、アルケミの身体を炎から護るように包み込んだ。 「悪いね…こいつ、オレの身を護る…」 でも、もうだめかも…。 銀のダガーをディアブロのわき腹に残し、掴んだ左手がゆっくりと力尽きていく。 残った左の一枚の翼が、むなしく空を二、三回打ち付けたが、そのままアルケミの身体は落下していった。
「チ、駄目か・・・やれやれ」 ディアブロは苦笑した。だが、その顔にはもう 殺気はなく、むしろ清々しいようでもあった。 「しかし・・・このまま落ちて二人ともTHE ENDってのは・・・ イマイチ、頂けねぇな」 ディアブロは呟き、アルケミを見やる。 切断された羽根と、そこから溢れる血が痛々しい。 「・・・という訳で、死にたくなきゃ暴れんじゃねぇぞ。」 ディアブロはアルケミを抱えると、最後の力を振り絞って その翼を羽ばたかせた。
必死で翼を羽ばたかせて、何とか着地の衝撃を和らげようとする。 だが、もう既に飛ぶだけの力は残っておらず、 二人揃って地面に叩きつけられた。 何とか仰向けに態勢を直し、アルケミに呼びかける。 「おい、生きてるか・・・?」 ひらひらと、片手を振るのが見える。無事だったようだ。 「・・・やれやれ・・・。」 そう呟くと、ディアブロは気絶した。 脇腹から溢れる血が服を汚していた。
ディアブロ…… やっぱ、ダガー、返してくれないか?(待て
張り詰めた戦いに見入っていた。 最後の二人が地面に倒れた後、レイラールはハッと気付く。 「勝ったのはどっちだ?」 審判のベイルに問い掛けるが、多分判定は無理だろう。
まずはしっかりギターをキャッチ。(ぉ 「・・・二人とも満身創痍って感じですね・・・どちらかを勝ちにしたとしても、次回出場はつらいかも・・・よってこの試合は引き分けにさせていただきますね。」 懐から魔導書を出し、 「では医療班のいるゲートまでお送りします。ゆっくり休んでください。鮮やかな空中戦お見事でした。(礼)」 「第一試合、これにて終了です!」 戦場には誰もいないけど、一応宣言。 |